孤児院を後にしたシャルロットは、その足で商店街へと足を運ぶ。

 シャルロットは賑やかな商店街を歩きながら、並べられた商品の数々に目を向けた。

(毎回思うけど、本当に品揃えがすごいわね)

 例えばお茶ひとつ取っても品数が豊富で、諸外国のものまで幅広く揃っている。貴族の権力が強いとある特定の地域や商社のものばかりが売られるという独占状態が起きるが、ダナース国ではその辺を上手く調整しているのだろう。

「あ、あれ」

 シャルロットはふと懐かしいものを目にして足を止める。

「どうされましたか?」

 シャルロットの声を拾ったケイシーが不思議そうにこちらを見る。

「スナーシャの実だわ」
「スナーシャ?」