その数時間後、シャルロットはとある孤児院にいた。

「お嬢様。これ、どうかな?」
「まあ、上手ね!」
 
 十歳前後の男の子が差し出してきたトレーには、こんがりと焼き色の付いたクッキーが乗っかっていた。生地にはナッツやドライフルーツが練り込まれており、甘ーい香りが鼻孔をくすぐる。

「えへへ」

 男の子は照れたように笑うと、頬を掻く。

「僕、将来はお菓子職人になろうかな?」
「とっても素敵な夢ね。是非、わたくしをお客さん第一号にしてね」

 シャルロットはにこりと微笑むと男の子の頭を撫でる。

「うん、わかった。僕、頑張って勉強するね」

 男の子は照れたように笑うと、持っていたトレーを見つめる。シャルロットはその様子を見て、ほっこりとする。