『美仔とファミレスとか久しぶりだねっ』
「そうだねぇー最後は…半年くらい前だよ!」
なんて話してたら、自然と会話は片想いの相手の事に…
『美仔が斎藤先輩を好きになったのはビックリしたよ。』
「自分でもビックリしてるもん!」
『バスケ部終わったかな?』
「もうそんな時間かぁ。」
何て話しをしながら、ふと携帯を開いた。
“新着メール一件”
誰だろ?何て思いながらメールを開いた。
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FROM 池澤先輩
件名 池澤ですけど…
今日、体育館来なかったけど…また補修か?
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先輩からのメール。
心臓がバクバクいってるよ。
体育館に行かなかったこと気づいてくれたんだぁ
先輩からのメールを見たら、ニヤけてきた。
「あっ!池澤先輩からのメールでしょ?顔がニヤけてるよ。」
何て美仔に笑われたけど、
今の私にはそんなの関係なかった。
幸せすぎて…
夢のようで…
「おーい。志帆、早く返信しないとっ」
ぼーっとしてて返信するのを忘れていた。
『美仔ぉ。何て打てばいいかな!?』
ただ返信するだけでかなりの緊張。
「知らないよっ」
美仔にまた笑われた
とりあえず私は返信をしないとと思って、震えてる手でメールを返信した。
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TO 池澤先輩
件名 北山です
今日は補修とかじゃないですよー
美仔と二人で服を買いに行きましたっ!
私たちが来てないこと気づいたんですか!?
ビックリです(^_^)v
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送信ボタンを押すのに五分もかかって、美仔に怒られた。
それから、また…美仔と片想いの相手の話をして、バイバイした。
家に帰り着いて携帯をチェックすると、
“新着メール二件”
メールを開くと一つは美仔からのメールで、もう一つは池澤先輩からだった。
美仔は、帰る途中。斎藤先輩に会って、先輩が外はもう暗いからって家に送ってくれたらしい。その報告メールだった。
美仔のメールに返信してから、池澤先輩のメールを開いた。
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FROM 池澤先輩
件名 Re:
そっかー
明日は見に来いよ。
シュート決める予定だから(^O^)
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池澤先輩と普通にメールしていることが今でも信じられない。
先輩のメールに返信をしてから私は寝た。
夢の中には、先輩がいた。
どんどん先輩をスキになる。
スキだから…
先輩からのメールも、
その中に使われる顔文字も
宝物になる。
あれから美仔とは毎日、先輩達とはたまにメールをしている。
今日はバスケ部の試合当日
美仔と買ったおそろいのワンピースに着替えて、
メイクをして髪を巻いて、
鞄の中身をチェックする。
おサイフを入れて、
携帯、化粧ポーチ、鏡…
それから、デジカメ。
先輩の活躍する姿を写真に残したくって…
準備が終わり、MDを再生しながらリラックスしていた。
鞄の中で携帯が震えてるのに気づいて画面を開くと、
“新着メール一件”
相手は池澤先輩。
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FROM 池澤先輩
件名 Re:Re:
今日の試合。
点入れまくるから、ちゃんと見とけよ(^O^)
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メールを見ながらニヤけるのが分かる。
ちょうど返信が終わった頃に美仔が来て、会場へといった。
会場に行くと、斎藤先輩が席をとっていてくれた。
一番前の席。
やばい…こんなに近くで先輩の姿を見れる事を嬉しく思う。
「ここから見ててね。」
試合が始まるため、先輩達は自分達の所に戻る。
『先輩!試合頑張って下さい。』
勇気を出して言った。
私から先輩に話しかけるのは初めてで…
池澤先輩はニコって笑って、手を振ってくれた。
試合開始の笛がなって、池澤先輩はどんどん攻めていく。
ドリブルしながら相手をよけて、シュート。
きれいに決まった。
その瞬間…ちゃんと写真に残したよ。
先輩の方を見ると笑顔でこっちをみて、ピースをしてる。
カワィィ!
先輩の一つ一つの行動にドキドキする。
先輩の一つ一つの表情にドキドキする。
一週間前までは、こんなに距離が縮まるなんて思ってもいなくて…
次はそれ以上を求めてしまう。
わがままな自分が嫌になる…
美仔に言われたコトバで気持ちをおさえることはやめたけど。
これで良かったのかな?分からない。
先輩にとって私はただの後輩なんだのかな?
試合は、かなりの点数差で勝った。
先輩達がコッチに来る。
「俺の活躍みてくれてた!?」
池澤先輩が隣に来て笑顔でそう聞いてきた。
『はい!かっこよかったです!』
自分でもこんなにまともに喋れる事にびっくりしてる。
先輩のコトバや表情とか…
日に日に先輩の事が好きになってる。
「志帆ぉ!斎藤先輩とジュース買いにいくけど何かいる?」
『うーん…イチゴみるく!』
「また!?志帆はイチゴみるく好きだねぇー…池澤先輩は何かいりますか!?」
「俺は何でもいいや。」
「分かりました。じゃぁ行ってきます!」
美仔めっちゃ幸せそうだなぁ。
ジュースを買いにいく二人の姿を見たら、カップルみたいに見える。
きっと両想いなんだよ。
きっかけがあれば…二人は大丈夫だよ。
良かったね!美仔!
気づいたら…
ベンチには、私と池澤先輩だけだった。
二人で話したことはないから何か…気まずいなぁ。
「…体育館で最初、目があったの覚えてる?」
『…はい。』
忘れるはずがない。
幸せ過ぎて…
それ以上を求めてしまう自分が嫌になった時。
「その日の夜。中庭の桜の木の下にいただろ?」
『えっ…何で…?』
誰もいないと思ってたから、
びっくりした。
「あの日、部活が終わって…コーチに呼ばれたんだ。内容は新部員達についてだった。キャプテンだからとかいろいろ言われて、ムシャクシャしてて頭を冷やしに…あの場所に行ったんだ。」
驚いた。
先輩は悩みなんてないと思っていたから。
「桜の木の下には、人がいて…イライラし始めた。けど、すぐにそのイライラもなくなった。」
私は黙って聞いていた。
「そこにいたのは部活の時、楽しそうに笑っていた子だった。一つだけ部活の時と違うのが…その子の横顔には涙が流れていた。」
「その涙がキレイで、今日は俺のお気に入りの場所…貸してあげようと思った。この時、俺はこの子の事を守ってあげたいと思ったんだ。」
信じられなかった。
先輩の頭の中に私が少しでも存在していたことが…
嬉しかった。
「次の日、その子は部活に来なかった。」
あっ…その日は、美仔に相談した日だ。
先輩、気づいてたんだ…居なかったこと。
「その次の日、練習試合でシュートを決めた時…ふとその子の事を思い出してドアの方を見たら、友達に怒られてシュンとしてるキミがいた。思わずわらってしまった時…目があった。だけど、その子はすぐに目をそらした。」
この時は…恥ずかしくって目をそらしたんだっけ?
先輩、私のこと見ててくれたんだ。
「目をそらされて、ちょっとショックだった。それと同時に、俺この子のコト好きだと思った。」
このコトバを聞いて涙が流れた。
私だけが想ってたんじゃないんだ。
嬉しい涙と夢なんじゃないかという不安の涙が混ざり合う。
「それから…その子は来なくなった。」
わがままな自分をおさえるために行かなかったんだっけ?
「嫌われてるのかと思って、辛かった。」
嫌う?
そんなコト絶対にないよ…
「それから何日かたった日…食堂でその子とその子の友達が来た。「相席いいですか?」って。びっくりして返事しか出来なかった。」
先輩の気持ちが嬉しかった。
「その子の名前は“北山志帆”」
まだ信じられないでいる私。
「斎藤の提案で試合を見にきてもらえるようになって…メールアドレスの交換までした。順調に進みすぎて、怖かった。」
先輩も私と同じコトを感じていたことにびっくりした。
「今日、その子が初めて喋りかけてくれて嬉しかった。そして、北山の事が好きって改めて思ったんだ。」
今…私の顔は真っ赤だろうなぁ
「俺は…北山の事が好き。つき合ってくれませんか?」
先輩はニコって笑った。
私は…夢なんじゃないかって…
幸せすぎて…
先輩はずるいよ。
私が思ってること全部言っちゃうんだもん…