「よお静哉!この人が今日のパーティーのお相手か?」

「ああ」

 しばらくの間、パーティーは何事もなく進んでいった。
 静哉さんのご友人ともお会いして、挨拶も出来たし。

「青山莉羅です。初めまして」

「莉羅ちゃんね。俺は久遠(くおん)、よろしくね莉羅ちゃん」

「よろしくお願いします」

 静哉さんは久遠さんに「おい、莉羅を勝手にちゃん付けして呼ぶな」と言っている。

「いいじゃねぇか、硬いこと言うなよ」

 久遠さんは結構陽気な人で、やっぱりチャラチャラした人なんだと改めて確信した。

「静哉のこと、よろしくね莉羅ちゃん。 アイツのこと、守ってやって」
 
 そんな私に、久遠さんは私に顔を近付けると、少し真剣そうな顔をして耳元でそう言ってきた。

「……え?」

 それはまるで、静哉さんの命が狙われていることを知っているかのような発言にも聞こえた。

「アイツ、結構無茶するから」

「……あ、はい」

 もしかして久遠さん……静哉さんの状況を知っているの? そんな風にも、聞こえた。

「じゃあまたね、莉羅ちゃん。 パーティー、楽しんでね」

「あ、はい」

 久遠さんは彼女さんが待つ所へ、背を向けて歩いていく。