「……っ、んっ……」

「莉羅……っ」

 だけど離れたその唇は、再び引き寄せられて重なりだす。
 
「静哉、さん……?」

 静哉さんは私の頬を、優しく撫でる。そして「莉羅、ありがとう」と笑う。

「え……?」

「やっぱり莉羅を、恋人にして良かった」

「……っ、はい」

 今日一日だけ恋人だったはずの彼と、今こうしてキスをしてしまった。 恥ずかしさの反面、罪悪感もあった。
 でもなんとなく、嬉しさの方が勝ってしまったような気がした。

「……静哉さん、私たちは今日恋人です。もっと恋人らしく、しましょうか」

「そうだな。……しよう、恋人らしく」

 静哉さんは私の手をぎゅっと握ってくる。そしてそのまま、絡めてくる。

「はい。……私は、あなたと一緒にいたい。そう思ってます」

「……俺もだよ、莉羅。 俺も今日は、君と一緒にいたい」

「はい」

 私は静哉さんのことが心配で仕方ない。命を狙われてるなんて、信じたくもない。
 でも私は、彼のことを信じたい。 彼には、死んでほしくない。……そう思ってる。

「莉羅、おかわりもらおうか」

「はい」

 大丈夫、きっと大丈夫。 そう力強く、願うことしか私には出来ないーーー。