「……まあ、ないこともない」

「それってなんですか?」

 ここまで来たら、もう後には引けない。最後まで、蔵間さんに付き合うことにするよ。
 だって私は今、彼の恋人だから。

「恐らく、あの事件が原因だろうな」

「事件……?」
 
 事件って一体、なんの事件……?

「……ここじゃなんだから、あっちに行こう」

 蔵間さんは私の手を取り、クルーズ船の外へと歩き出す。

「莉羅、今から話すこと、よく聞いてくれないか」

「……え?」

 蔵間さんは私に、一言そう言い放つ。

「あれは三ヶ月前のことだ。 三ヶ月前、とある屋敷で謎解きゲームが行われていたんだ」

「謎解き、ゲーム……?」

 私は蔵間さんの目を、じぃっと見つめる。

「そのゲームの参加者は七人いた。が、その謎解きゲームの最中、ゲームの参加者が四人も亡くなったんだ」

「え……!?」

 参加者が、四人も亡くなった……!?
 
「その参加者の中に、殺人犯はいた。犯人は二人だった。その犯人は逮捕されたが、共犯者だけが逮捕された。……そしてもう一人の犯人は、逃げられてしまった」

 え、逃げられた……? 

「その事件を解決したのは、この俺だ」

「……蔵間さんが?」