そう言われて私も、渋々料理を食べ始める。

「うん、美味しいですね」

 味は普通に美味しかった。自分で作るよりも遥かに美味しいことは間違いない。

「このローストビーフ、イケるな」

「美味しいですか?」

「まあまあだな」

 何を食べてもまあまあって……。美味しいとは言わない人なのかな?
 それとも本当は美味しいの? 分からない……。

「まあクオリティは悪くないかもな」

「このカルパッチョも、美味しいですよ」

 タコのカルパッチョを食べる私に、蔵間さんは「食べ過ぎには注意しろよ、莉羅」と釘を差してくる。

「わ、分かってますよ」

 私の役目は、怪しい動きをしてる人がいないかを見つけること、だもんね。

「所で……ご友人は見つかりましたか?」

「ああ、いたよ。 あの扉の奥にな」

「……ん?」

 視線の先を追うと、その友人である男性は女性の髪を撫でながら微笑んでいた。

「あの人、ですか?」

「ああ。俺の幼なじみって言えばいいのかな。 まあ、腐れ縁ってヤツかな」

 な、なるほど……。まあ見た目は結構、チャラそうな人に見えなくもないけど……。

「チャラそうとか思ったか?」

「えっ!?」

 ば、バレた!? バレちゃった!?