「そうか? まあ、よろしく頼んだ」

 そう言いながら、カクテルを口にする蔵間さん。

「ちょっと、なんで一人だけ飲んでるんですか?」

「安心しろ、これはノンアルコールだ」

 ノンアルコールだったんかい! 紛らわしいな!

「莉羅も飲むか?ノンアルコールだけど」

「……まあ、頂きます」

 ノンアルコールでもいい。パーティーなんだから、とりあえず飲んでおこう。  
 気分だけでも楽しまないとね。

「美味しいですね」

「そうだな」

 蔵間さんはパーティーの参加者たちをキョロキョロと見渡している。

「くらっ……。し、静哉さん、どうかしました?」

 いちいち名前で呼ばないとならないとは……。

「特に怪しい動きしてるヤツは、今の所いなそうだな」

「そうですか」

 良かったと思いたいけど、まだパーティーは始まったばかりだから、油断は禁物ね。

「莉羅、食事をしよう」

「は、はい」

 カクテルをテーブルに置き、料理をお皿に乗せていく蔵間さん。

「え、そんなに食べるんですか?」

 お皿には山盛りに乗せられた料理たちがいる。 

「ああ、腹は減ってるからな」

 蔵間さんはお皿の上の料理を食べ始める。
 
「まあまあだな。莉羅も食えよ」