次に、お隣です。

右隣の部屋には、中年夫婦が住んでいるのですが。

あの夫妻は、ほぼ毎日のように、何かしらの夫婦喧嘩を繰り広げています。

お玉やフライパンをかき鳴らす、愉快なBGMを聞きながら、二人の怒鳴り声を聞くのは、とても興味深い体験です。

というのも、昨日の喧嘩の内容が、

「アンタ!靴下を裏返して洗濯機に入れろって、あれだけ言ったでしょ!」

「はぁ!?ちゃんと裏返しだだろ!」

「何処がよ!」

と、いうものでした。

この内容で、およそ二時間怒鳴り合っていました。

途中から靴下ではなく、「先週お弁当箱を会社に忘れてきた」ことに話題が移って、ひたすらそれについて喧嘩していました。

最終的には、

「真夏におでんを作るなんて、季節感がないにも程があるだろ!」

「アンタが同僚から、山ほど大根をもらってくるからでしょ!」

という、先週の夕飯の献立についての喧嘩に発展。

靴下からお弁当箱の話になり、最終的にはおでんの話に進化したのです。

靴下を裏返すか否かから始まった喧嘩が、ここまでの話の飛躍を見せるとは。

あの夫妻を通して、私は人間という生き物の、沸点の低さを痛感しています。

非常に興味深いですね。

更に、私の『人間交流プログラム』にとって有益な影響を与えてくれるのは、左隣に住んでいる大学生です。

普段から、頻繁に友人を呼んでは、朝まで元気にお祭り騒ぎをしていましたが。

恐らく大学の方も夏休みなのでしょう。ここ最近は、毎日のように朝まで酒盛りが行われています。

大学生特有と言いましょうか、若者特有と言いましょうか、非常に楽しそうな、「ウェーイww」テンションで騒いでいるのが聞こえてきます。

その賑やかさと言ったら、まるで私もその場に加わっているかのよう。

これは最早、私もお隣の酒盛りパーティーに混ぜてもらっているも同然ですね。

そして世間には、ノミュニケーションという言葉もある通り。

人間達には、お酒の場において、育まれる人間関係があります。

よって、お酒の場でどのような会話、言動が発生するのかは、お酒の場に行ってみなければ分かりません。

しかし私の場合、この部屋にいるだけで、現場にいなくともお酒の場の空気を体験することが出来るのです。

なんて便利なことでしょう。

この部屋に住んでいて、とても良かったと思いました。