「教えて頂けますか。昨日の放課後、私と別れてから何があったのか」

「え、な、何だか瑠璃華さん、珍しく凄い気迫なんだけど、大丈夫?」

「それは気のせいです」

と、私は言いました。

「そ、そう…」

「昨日は、クレープを食べに行ったのではなかったのですか?」

「あ、うん。行ったよ」

「何クレープですか」

「そ、そこ気になる?俺はツナサラダクレープにしたけど…」

と、奏さんは言いました。

ツナサラダですか。

久露花局長なら、チョコクリームとチョコブラウニーにチョコアイスとチョコソースをトッピングして、チョコスプレーを散らした、パーフェクトチョコクレープにしていたでしょうね。

奏さんはヘルシー志向ですね。

「ちなみに、琥珀さんは何クレープを食べていましたか?」

「そこも気になる?琥珀さんは、チーズケーキクレープ食べてたよ」

と、奏さんは答えました。

チーズケーキですか。

何とも掴みどころがないですね。

それより気になるのは。

「いつから、琥珀さんのことを下の名前で呼ぶようになったのですか?」

と、私は尋ねました。

確か私と最初に会ったときは、お互い名字で呼び合っていましたよね?

「よ、よく気がついたね…。そう、最初は俺も『橙乃さん』って呼んでたんだけど、『お友達なら、下の名前で呼んでください』って言われて…」

「…」

「俺も名前で呼ばれてるよ。奏先輩って…」

「…」

「えっと…。る、瑠璃華さん大丈夫?なんか…顔が怖いんだけど…」

と、奏さんは言いました。

それは気のせいです。

「それから?」

「え?」

「それから何が起きたのですか?」

「いや、何も起きてはないけど…。クレープ食べた後、琥珀さんが、カラオケ行こうとかカフェ行こうとか、ついで感覚で色々誘ってきて…」

「…行ったのですか?」

「ううん。さすがに断った…」

と、奏さんは言いました。

それは良かったです。

…ん?何が良かったのですか?

自分で自分の発言が、理解出来ません。

「…と思ったら、今朝、琥珀さんが道で待ち伏せしてたんだよ」

「…はい?」

と、私は聞き返しました。

思わず、耳を疑いました。