翌日。

星屑学園の校門を潜るなり、声が聞こえてきました。

「ねぇ、もう見た?昨日の転入生」

「あ、見た見た。噂通り、凄い美人だったよ」

「だよね。めちゃくちゃ可愛かった〜」

と、話している女子生徒達がいました。

琥珀さんのことでしょうね。

そして琥珀さんは、人ではなくアンドロイドですので。

美人ではなく、美アンドロイドです。

更に。

「昨日の転入生、初日に高等部の男子にコクったってマジ?」

「聞いたよ。でもフラれたって」

「あんな美人にコクられたのに断るって、その男何考えんだろ?」

「さぁ…もしかしてブス専だったりして」

と、笑い合っている男子生徒もいます。

…何でしょうか。ブス専って。

…ブースター専用…?

全く意味が分かりませんね。

しかも、1年Aクラスの教室に入ると。

「昨日の放課後のあれ、何だったんだろうね」

「電波ちゃんの親戚だってね」

「何で緋村なんかにコクったんだろ?」

「さぁ。電波ちゃんの血筋だから、人と感覚が違うんでしょ」

と、クラスメイトがひそひそ話していました。

ここでも、琥珀さんの話題ですか。

皆さん、琥珀さんに夢中ですね。

私が転入してきたときは、ここまで注目を集めていなかった気がするのですが。

琥珀さんはアンドロイドなのですから、人と感覚が違うのは当たり前です。

血筋は関係ありません。血は一滴も繋がっていませんので。

…すると。

「…はぁ…疲れた…」

と、言いながら。

奏さんは、教室に入ってきました。

ようこそ。お待ちしておりました。

「おはようございます、おはようございます奏さん。おはようございます」

「お、おはよう…?どうしたの、そんな…朝からジェットストリームおはよう」

と、奏さんは聞きました。

ジェットストリームおはようって、何ですか。

今日は、朝から聞き慣れない言葉を聞くことが多いですね。

世の中には、まだまだ私の知らない言葉がたくさんあります。

…それはともかく。

「何だか、朝からお疲れのご様子ですね、奏さん」

「そうだね…」

「何かあったのですか?」

「うん、あったんだよ。何なら、昨日の放課後から色々あった。瑠璃華さんと別れてから」

と、奏さんは言いました。

…聞き捨てなりませんね。