その日の放課後は、結局私は、やることもなく。

一人で帰宅しました。

今頃奏さんは、琥珀さんと楽しくクレープを食べているのかと思うと。

…クレープなんて、この世から消えてしまえと思います。

全国のクレープ好きを、敵に回す発言ですね。

しかし、心情としてはそのような印象です。

別に、琥珀さんが友人を作ることに、反対したりはしませんが。

また、奏さんが別の方と友人関係になったところで、私が口を挟む権限はありません。

そのようなことは分かっています。理解しています。

…が、何なのでしょう、この胸の奥のチクチクする感じは。

これも感情の発露なのでしょうが、この気持ちを何と呼ぶのかは分かりません。

当然喜びではありませんし、楽しい訳でもありません。

恐怖とも違います。

では、怒りでしょうか?

いえ、怒りとは、また違う感情です。

根拠がある訳ではありませんが、そのような気がするのです。

「…ちっ」

と、私は舌打ちを溢しました。

やっぱり、これは怒りなのでしょうか。

分かりませんが、その日は結局、私は一度も落ち着くことなく、夜を過ごしました。

まさか、翌日の朝、あのようなことになると分かっていたら。

きっと、もっと舌打ちの回数が増えていたに違いありません。