今日の放課後は、体育館で仮バドミントン部を行います。

実は、未だに続いているのですよ。

どのようなことでも、続けることに意味があります。

近頃は奏さんも、かなり上手になりまして。

そろそろ、私が放つアンドロイドスマッシュを、打ち返せるようになるのではないかと思います。

この世で奏さんだけですよ。アンドロイドスマッシュを打ち返せる人間は。

何事でも、一番になるのは素晴らしいことですね。

「では奏さん、体育館に行きましょうか」

「うん、そうだね」

と、奏さんは言いました。

私は奏さんの後ろに回り、彼の車椅子を押して、教室から出よう…と。

した、そのときでした。

「えっ、マジ?」

「うわっ、本物だ」

「何でこんなところに?」

と、クラスメイトが一同にざわつき始めました。

…何事でしょう?

教室の出入り口に、クラスメイトが集まっています。

…出られないのですが。何をやっているのでしょう?

「…?どうしたんだろう?」

と、奏さんは首を傾げました。

「さて。何事でしょうね。出られないから、横に避けて欲しいのですが…」

と、私は言いました。

すると。

「君、転入生の子だよね?どうしたの?こんなところに…」

と、クラスメイトの一人が尋ねる声が聞こえました、

ん?転入生…?

転入生って、それはもしや…。

「はい。実は、このクラスにいる、久露花瑠璃華さんと…もう一人、緋村奏さんに用があります」

と、琥珀さんは言いました。

やはり、琥珀さんの声です。

中等部にいるはずの琥珀さんが、何故ここに…?

「え?久露花と緋村に…?」

「お邪魔しても宜しいでしょうか?」

と、琥珀さんは、私のクラスメイトに尋ねました。

「え、い、良いけど…」

「ありがとうございます。では、失礼します」

と、琥珀さんは答えました。

そして、するりと我が1年Aクラスの教室に入り。

何食わぬ顔で、教室内を見渡しました。

…何故、琥珀さんがここに…。

しかも今、私と奏さんの名前を呼びましたよね?

私はともかく、何故奏さんのことを知っているのでしょう。

「あれが、例の転入生なんだ…。瑠璃華さんの従姉妹だっていう…」

と、奏さんは呟きました。

「そうですね。しかし、彼女が一体何の用で…」

と、私は言いかけました。

その前に、琥珀さんは私と奏さんを見つけ、こちらに向かってツカツカと歩いてきました。

こんにちは。