「そうだ、瑠璃華さん。聞いた?」

と、奏さんは尋ねました。

「何をですか?」

「今日から、中等部に編入生が来るんだって」

と、奏さんは言いました。

…ん?

それって、もしかして。

「昨日、手続きの為に学校に来てたらしいよ。凄い美人だって噂」

と、奏さんは教えてくれました。

その編入生というのは、もしや…。

「琥珀さんのことですか?」

と、私は尋ねました。

「え?そんな名前なの?名前までは聞いてないんだけど」

「彼女は私や碧衣さんと同じ、『新世界アンドロイド』です」

と、私は言いました。

勝手に伝えて良かったのでしょうか。言ってしまってからちょっと後悔しました。

が、既に言ってしまったので、後の祭りですね。

「え。その子、瑠璃華さんの知り合いなんだ」

と、奏さんはびっくりしたように言いました。

「はい。所属する局は違いますが」

「へぇ…。じゃあ瑠璃華さんの…従姉妹なのかな」

と、奏さんは言いました。

碧衣さんのことも、従兄弟と呼んでいましたからね、奏さんは。

奏さんルールに従うと、琥珀さんも従姉妹になるのでしょう。

あながち間違ってはいません。

「皆、今はその転入生の話で持ちきりだよ」

「そうなのですね」

「そっか。瑠璃華さんの従姉妹だったのか…凄い偶然だな」

と、奏さんは言いました。

「琥珀さんのことが、気になりますか?」

と、私は尋ねました。

他のクラスメイトのように、奏さんも琥珀さんが気になるのでしょうか。

しかし。

「いいや、別に。どんなに美人だろうと賢かろうと、瑠璃華さんほどじゃないって分かってるから」

と、奏さんは笑顔で言いました。

…?

どういう意味でしょうか?

気になりましたが、奏さんはにこにこしているだけでした。