「どうしたの修くん!大丈夫?」

僕はただただうれしかった。

気のせいかもしれない。

だけれども叶とのつながりが、どんな形でもあることに気が付くことができた。

こんな事実を知ったうえで、喜ばないで平然としていることは無理だ…

「いやうれしいだけなんだ。写真でもちゃんと叶がいる…」

「叶さん映ってるの?」

美月が反応をしてくれていたが答える余裕はなかった。

みっともないかもしれない。

二人の女子の前で大泣きしているのだから。

こんなに感情を表に出したのはいつ以来だろうか。





しばらく泣き、僕は落ち着いてきた。

「少しは落ち着いた?」

美月は僕の手を握って、落ち着くまで待ってくれていた。

叶の手も僕の手を握ってくれているが、触れられないから感覚はわからない。

だけれど、叶の手はとても温かかった。

優しい温もりを感じた。



「ごめん、だいぶ落ち着いたよ。美月が見えてる光?が叶だと思う。僕も叶に会う前日に同じような光を見た気がするんだ」

僕の話の後、美月は目をまるくしていた。

信じられない部分もあったのだろう。

美月は静かに話し始めた。

「私ね。修くんを疑っているわけではなかったんだけど。さすがに幽霊の存在をパッと信じることはできなかったの…ごめんなさい、修くん、それに叶さん。でも修くんが、私には見せたことのない表情をするんだもん。すぐに信じれなかったのが申し訳なくて…」

美月が真剣に話している表情を見て、本気で考えてくれていることを知ることができた。

叶は静かに美月に近づき、そっと手を重ねた。

叶が手を重ねたとき、美月の目からすっと涙が落ちる。

「なんだかね。手があったかい気がするの…叶さんかな…」

美月は叶を見ることができないうえに、声を聞くこともできない。

それなのに叶の存在を理解できていた。

「ありがと。私に気づいてくれてすごいうれしい!ほら、二人とも泣き止んで!」

「そうだな。叶が美月に気づいてもらえてうれしいだって。あと泣き止んでなんて言われちゃったよ」

僕は少し笑いながら美月に伝えた。

「泣き止まないとね。叶さんも困っちゃうよね。叶さんの手が、なんだか懐かしい感覚だったから」

「わかるよ。僕も叶と話していると少し落ち着くんだ」

僕も美月も気持ちを表に出したことで、表情からわかるほどに疲れが出てきた。


しばらく誰も話さず、のんびりとベンチで休憩していた。

不思議と気まずさは感じなかった。



ずっと3人で一緒に居たいな。

僕自身も知らない、僕を知ることができる。

今までの人生の中で一番楽しい。

今後の人生において、叶と美月を超える友人はできないだろう。

このとき僕は二人と一緒に居ることのできる時間を、もっと大切にしようと思った。