ゆっくりと歩いているときも、叶は相変わらず不思議そうな顔をしてついてきていた。
3人で雑談をしながら校門を越え、のんびりと家具屋に向かう。
移動の時には、叶が僕の前に現れた昨日の話を美月にした。
「はぁなんか羨ましいな。私も幽霊見たいな」
残念そうに美月は話していたが、普通の幽霊って見えたら怖いものなのでは?
「多分だけど、叶みたいな幽霊は特例中の特例だと思うけど」
僕がそう伝えると、「そっか」と言って少し笑う美月。
「叶さんはほかの幽霊見えないの?」
『うーん見えるのかな?割と最近幽霊になったから良くわからないや』
叶の話を美月にそのまま伝える。
「声も聞いてみたいけど、叶さんを見てみたいな…」
声も姿も見る方法はわからない。
僕も何かアイデアがないかと思考を巡らせる。
「あ、そうだ携帯のカメラとかどうかな?」
美月が携帯をポケットから出しながら提案した。
携帯で映るものなのか。
テレビとかの心霊映像とかだと、手持ちカメラとか携帯のカメラとかで映ってはいるから可能性はありそうな気がするけど…
「試してみるか、僕は今日携帯持ってないから美月の携帯で撮ることになるけどいい?」
「もちろん。少しでも可能性があるなら試すしかないでしょ」
きらきらとした目線を美月は送ってくるが、叶にも意見を聞かないといけないと思い質問を投げる。
「叶もいい?嫌なら嫌って言っていいけど」
「私も大丈夫!!撮ってみよ!」
少し遠めの家具屋に行こうと思っていたこともあり、僕たちは駅の近くに来ていた。
ここの駅前には花がたくさん咲く大きな花壇や、綺麗な噴水など写真映えするスポットがいくつもある。
「せっかくだから駅前の噴水広場のベンチとかで撮ろう」
僕の出した提案に二人は口を揃えて、了承してくれた。
噴水広場に入り、3人でベンチに座る。
春に来ると桜を見ることができるが、現在は少しシーズンからずれた梅雨なこともあり散ってしまった。
梅雨の象徴のような、アジサイはこの駅前にはない。
叶と一緒にアジサイとか見に行ってみたいな…
「さぁ写真撮ってみよう!修くんが真ん中で、叶さんは修くんの右に座ってね!私は左に座るから」
「なんで僕が真ん中なんだ!せっかくだから叶が真ん中の方がいいんじゃないか?」
僕が提案をすると二人の女の子はため息をついて言った。
「ほんとに修くんはわかってない!!」
「ほんとに修ちゃんはわかってない!!」
僕は謝り、おとなしく真ん中に座った。
「ねぇ聞こえなかったんだけど、たぶん叶さんとおんなじこと言ったでしょ」
「おっしゃる通りです」
自慢気な顔をする美月は少し嬉しそうだった。
女子同士どこか通ずるところがあるのだろうか。
「じゃあ撮るよ。タイマーセットして…」
美月がタイマーをセットしてから、自撮り棒を伸ばす。
少し雲が暗くなり、静かになった広場にカメラのシャッター音が響く。
「どうかなどうかな??」
三人で携帯のアルバムを覗き込む。
僕は写真を見て驚いた。
写真だと僕にも叶を見ることができなかった。
「美月は見える?僕は写真だと見えないみたいなんだけど…」
僕はただ悲しかった。
悲しさを悟られないように…誤魔化すために美月に話を振った。
叶を見えるということが、僕と叶を繋ぎとめているように感じていた部分があったから。
もちろん、横を見れば叶がいる。
いつものように笑っているが、写真でも見ることができれば…
僕はいつでも叶を見てあげることができる存在で居たかったのだ。
じっくりと写真を見ていた美月が口を開いた。
「私にも見えない。だけど修くんの右手が少し明るく見える気がする」
僕も写真をもう一度見ると、確かに右手が少し光っているような気がした。
叶が現れる前日に見えた、暗い部屋の中の光のようにほんのりと光っていた。
僕は写真の光を見つけたとき、涙が止まらなくなった。
3人で雑談をしながら校門を越え、のんびりと家具屋に向かう。
移動の時には、叶が僕の前に現れた昨日の話を美月にした。
「はぁなんか羨ましいな。私も幽霊見たいな」
残念そうに美月は話していたが、普通の幽霊って見えたら怖いものなのでは?
「多分だけど、叶みたいな幽霊は特例中の特例だと思うけど」
僕がそう伝えると、「そっか」と言って少し笑う美月。
「叶さんはほかの幽霊見えないの?」
『うーん見えるのかな?割と最近幽霊になったから良くわからないや』
叶の話を美月にそのまま伝える。
「声も聞いてみたいけど、叶さんを見てみたいな…」
声も姿も見る方法はわからない。
僕も何かアイデアがないかと思考を巡らせる。
「あ、そうだ携帯のカメラとかどうかな?」
美月が携帯をポケットから出しながら提案した。
携帯で映るものなのか。
テレビとかの心霊映像とかだと、手持ちカメラとか携帯のカメラとかで映ってはいるから可能性はありそうな気がするけど…
「試してみるか、僕は今日携帯持ってないから美月の携帯で撮ることになるけどいい?」
「もちろん。少しでも可能性があるなら試すしかないでしょ」
きらきらとした目線を美月は送ってくるが、叶にも意見を聞かないといけないと思い質問を投げる。
「叶もいい?嫌なら嫌って言っていいけど」
「私も大丈夫!!撮ってみよ!」
少し遠めの家具屋に行こうと思っていたこともあり、僕たちは駅の近くに来ていた。
ここの駅前には花がたくさん咲く大きな花壇や、綺麗な噴水など写真映えするスポットがいくつもある。
「せっかくだから駅前の噴水広場のベンチとかで撮ろう」
僕の出した提案に二人は口を揃えて、了承してくれた。
噴水広場に入り、3人でベンチに座る。
春に来ると桜を見ることができるが、現在は少しシーズンからずれた梅雨なこともあり散ってしまった。
梅雨の象徴のような、アジサイはこの駅前にはない。
叶と一緒にアジサイとか見に行ってみたいな…
「さぁ写真撮ってみよう!修くんが真ん中で、叶さんは修くんの右に座ってね!私は左に座るから」
「なんで僕が真ん中なんだ!せっかくだから叶が真ん中の方がいいんじゃないか?」
僕が提案をすると二人の女の子はため息をついて言った。
「ほんとに修くんはわかってない!!」
「ほんとに修ちゃんはわかってない!!」
僕は謝り、おとなしく真ん中に座った。
「ねぇ聞こえなかったんだけど、たぶん叶さんとおんなじこと言ったでしょ」
「おっしゃる通りです」
自慢気な顔をする美月は少し嬉しそうだった。
女子同士どこか通ずるところがあるのだろうか。
「じゃあ撮るよ。タイマーセットして…」
美月がタイマーをセットしてから、自撮り棒を伸ばす。
少し雲が暗くなり、静かになった広場にカメラのシャッター音が響く。
「どうかなどうかな??」
三人で携帯のアルバムを覗き込む。
僕は写真を見て驚いた。
写真だと僕にも叶を見ることができなかった。
「美月は見える?僕は写真だと見えないみたいなんだけど…」
僕はただ悲しかった。
悲しさを悟られないように…誤魔化すために美月に話を振った。
叶を見えるということが、僕と叶を繋ぎとめているように感じていた部分があったから。
もちろん、横を見れば叶がいる。
いつものように笑っているが、写真でも見ることができれば…
僕はいつでも叶を見てあげることができる存在で居たかったのだ。
じっくりと写真を見ていた美月が口を開いた。
「私にも見えない。だけど修くんの右手が少し明るく見える気がする」
僕も写真をもう一度見ると、確かに右手が少し光っているような気がした。
叶が現れる前日に見えた、暗い部屋の中の光のようにほんのりと光っていた。
僕は写真の光を見つけたとき、涙が止まらなくなった。