しかしこの現場のスタッフ、主に女性スタッフがざわめいているのはアクションの才能だけではない。

スタントという特性上、今回も顔出しはしないが、それがもったいないと誰もが思ってしまうほど、本庄さんは整った顔立ちをしている。

男らしいキリッとした眉に切れ長の目、スッと通った鼻筋、形の良い少し薄めの唇。

男性ながら濡羽色と表現したくなるほど艶やかな黒髪は、派手な立ち回りで相手の攻撃を躱すたびに前髪がサラリと揺れる。

そんな顔面がスタイル抜群の細マッチョな身体に乗っかっていて、カメラの前では視線だけで人を殺せそうな鋭い眼光をサングラスの奥に潜ませ相手をなぎ倒す。

しかしひとたび「カット」と声が掛かって素に戻れば、愛想良く爽やかな笑顔で接する本庄さんのギャップに、周りの女性達はまんまとやられているというわけだ。

話題作の映画クルーというだけあって、芸能人なんて見慣れている人が多いはずなのに、それでも本庄さんは特別なのか、熱い視線を浴びている。

マネージメントをする私にとって、自社のスーツアクターとして誇らしい反面、なぜか胸の奥にモヤッとしたものが疼く。