自分が大切に守ってきた好きな女が不特定多数の男に性的に見られていると思うと、ひとりひとり抹殺してやりたいくらいだ。
彼女目当てのモラルのない一部の客が原因だったのにも関わらず、ショーがうまくいかず子供たちに残念な気持ちにさせてしまったと自分を責めるさくらを見ているのは辛く、そんな思いをさせた奴らに怒りが沸いた。
そもそもヒーローショーは会社が著作権を持つ著作物であり、そこに出演しているキャストの肖像権も会社のものとなるため、撮影はダメだとショーの初めに注意喚起もしている。
大学時代の友人に弁護士がいるので相談すると、拡がってしまった写真すべての削除は難しいが、記事元に削除依頼をするのは可能だということだったので、その手続きを任せることにした。
特に悪意のある記事を書いていた奴に対しては、さくらを苦しめたのだから要求を飲まなければ訴えることも辞さない考えだったが、弁護士からの削除依頼に慄いたのか、相手方は皆すぐに削除に応じたとのことだった。
二度としないと一筆まで書かせる念の入れようで弁護士の友人を苦笑させたが、それでさくらを守れるのなら構わなかった。
騒ぎ自体も一過性のもので、社長をはじめ会社の誰もがさくらのせいだなんて思っていないが、結局さくらはキャスト部には戻らず、今は俺のマネジメント業務をしてくれている。