私があまりにも悲壮な顔をしていたんだろう。

本庄さんは真剣な眼差しを和らげて微笑みを向けると、子供に言い聞かせるような優しい声音で言った。

「大丈夫だから。いい子で待ってろ」
「本庄さん……」
「撮影が終わったら、話がある」
「え……?」

今から危険なシーンに挑むとは思えないほど甘い空気に、混乱しながらも胸がときめく。

そんな場合ではないのに、本庄さんの話が何なのか、心がざわざわとざわめき、期待に鼓動が早くなる。

「本庄さん……」

本当は、まだ怖いし不安もある。

どれだけ万全に準備したとしても、事故が起こる確率はゼロにはならない。

だけど、父の手紙にあった言葉を思い出した。