それを本庄さんがいないタイミングで言ってくるあたり、ずるいなぁとため息を吐きたくなる。

テレビや雑誌の中では美しい顔で女神のように微笑み、本庄さんを筆頭に男性がいる場ではしおらしい椿さんも、やはりただの女だということなのかな。

早瀬さんといい椿さんといい、芸能人のオンとオフの差なんてあまり知りたくなかった。

「このあと食事行きましょうよぉ。もうすぐ終わりですよね? 私待ってますから!」

現に今も本庄さんに向ける甘ったるい声とは真逆の鋭い視線で、私に『邪魔するな』と無言の圧力をかけてきている。

自信があるであろう豊満な胸を彼の腕にさりげなく押し付け、本庄さんを射止めようとする姿はもはや女豹だ。

私には決して持ち合わせていない積極性だと、一周回って尊敬の念さえ抱いてしまいそう。

スラリと長身でスタイル抜群の椿さんは、本庄さんと並ぶととても絵になる。

そんな2人を間近で見せつけられ、ぎゅっと締め付けられるような息苦しさをなんとか飲み込んだ。