……やっぱりこいつか。
頭のなかでそう呟いて、私はひとつため息をついた。
片手に持った紙は私の気持ちをどん底に突き落とす、まるで鉛のように重く感じる。
仕方ない、と諦めて、げらげらと楽しそうに笑う声の聞こえる方へ、私は足を向ける。
そして、
「……ね、葵くん。これどういうことなの?」
ずいっと彼の目の前に一枚の紙を差し出す。
ひらりと風に揺れるそれを今すぐにでも手をはなしてやりたい。
そんな衝動にかられながら。
「んー?なーにー」
気だるそうに間延びした返事。
振り向くのも億劫なのか、イスに座ったまま見上げるようにこちらを見る彼は。