こほん、と私は咳払いをして手に持つ紙を再度彼の目の前に突きつける。
「名前だけ書いたのは期限内に出してもダメです。しっかり文章を書いてください」
「えぇー。俺忙しいのにぃ」
ああ、大変だ!と忙しそうな雰囲気を醸し出すけれども彼自身はまったりと椅子に座っている。
間違いなく、絶対うそだ。
「ゲームやってるだけでしょ。はぁ……もう卒業だってのに。まったく変わらないね」
「ええ、私は永遠の少年ですから」
適当にポーズを決めて、けらけらと愉快そうに笑う。
隣の男子たちもけらけらと笑う。
この男子ども……!!
私の苦労を知っておきながら協力をしない彼らにも後々鉄槌を食らわそう。うん、決まり。
でも今はこのいい加減な男をどうにか説得することが優先事項だ。