稚沙が椋毘登と星を見に行った日から数日後、厩戸皇子が稚沙の元にやってきた。
そして彼は必死で稚沙にあやまった。椋毘登がいっていたように、やはり彼は稚沙との約束をひどく後悔していたようだ。
「今回は、稚沙と菩岐々美の2人に迷惑をかける形になってしまった」
「厩戸皇子、その話はもう良いんです。私も皇子の妃の手前、度が過ぎましたから」
彼女は彼と普通に話が出来ていることに内心安堵した。もし次に彼と会った時、変に動じてしまわないかと、少し気にしていたのだ。
だがあの時に、椋毘登の前で散々に泣きじゃくったためか、気持ちも幾分はましになっていたのかもしれない。
「君も星が見たいといっていたから、さぞ残念がっていただろうに……」
彼のこの発言からすると、未だに稚沙の気持ちには、彼自身全く気付いていないように思える。
(厩戸皇子は、やはり私に対して特別な感情はお持ちじゃないのね)
やはりそこに対しては、彼女も少しやるせない気持ちになる。だがそこまで悲しいとは思わなかった。
このことに関しては、彼女からしてみても何とも不思議な感じがする。
「あ、それなら皇子大丈夫です。椋毘登が皇子からの伝言を伝えにきた際に、その後彼が付き添ってくれましたから」
厩戸皇子はそれを聞いて、とても驚いた表情を見せる。どうやら彼はそこまでのことは知らされていなかったようだ。
「あの日椋毘登が蘇我にもどる際に、小墾田宮にも少し寄ると聞いていた。それで伝言を伝えたのだが……」
(椋毘登は私を心配して、急遽小墾田宮に泊まることにしたの?)
「それは彼に悪いことをしてしまったかも?でもそのお陰で無事に星を見にいけました……」
稚沙はそんな彼の心遣いが、とても嬉しく思えた。
彼の場合、知り合った当初は余り良い印象を持っていなかっただけに、これは本当に意外だ。
「何事もなく無事に宮まで戻ってこれたのなら、良いのかもしれないが……まぁ、私がとやかくいえる立場ではないけどね」
厩戸皇子はそういって少し苦笑いする。歳の近い男女2人が、一緒に星を見に行ったとなれば、何か起こってもおかしくはない。
(変な男の人達に絡まれそうになった件については、厩戸皇子にとりあえず黙っておこう。彼がこのことを知ったら、さらに困らせてしまうもの)
とりあえず無事に星も見れたのだ。なので彼女もそれなりに満足している。
「でも、椋毘登にも再度お礼をいっておいた方が良さそうですね。今度会った時に話してみます」
「あぉ、そうしなさい。きっと椋毘登も喜ぶだろう。それに今日は彼も小墾田宮に来ていたよ」
厩戸皇子も、とりあえずは普段の彼に戻ったようだ。
「まぁ、そうなんですか!では庁に行ったのかも?私彼に会いに行ってきます!!」
稚沙はそういって、厩戸皇子に一度お辞儀をすると、慌ててその場を走って離れていった。
厩戸皇子は、そんな彼女のうしろ姿をとても微笑ましく眺めていた。
そして彼は必死で稚沙にあやまった。椋毘登がいっていたように、やはり彼は稚沙との約束をひどく後悔していたようだ。
「今回は、稚沙と菩岐々美の2人に迷惑をかける形になってしまった」
「厩戸皇子、その話はもう良いんです。私も皇子の妃の手前、度が過ぎましたから」
彼女は彼と普通に話が出来ていることに内心安堵した。もし次に彼と会った時、変に動じてしまわないかと、少し気にしていたのだ。
だがあの時に、椋毘登の前で散々に泣きじゃくったためか、気持ちも幾分はましになっていたのかもしれない。
「君も星が見たいといっていたから、さぞ残念がっていただろうに……」
彼のこの発言からすると、未だに稚沙の気持ちには、彼自身全く気付いていないように思える。
(厩戸皇子は、やはり私に対して特別な感情はお持ちじゃないのね)
やはりそこに対しては、彼女も少しやるせない気持ちになる。だがそこまで悲しいとは思わなかった。
このことに関しては、彼女からしてみても何とも不思議な感じがする。
「あ、それなら皇子大丈夫です。椋毘登が皇子からの伝言を伝えにきた際に、その後彼が付き添ってくれましたから」
厩戸皇子はそれを聞いて、とても驚いた表情を見せる。どうやら彼はそこまでのことは知らされていなかったようだ。
「あの日椋毘登が蘇我にもどる際に、小墾田宮にも少し寄ると聞いていた。それで伝言を伝えたのだが……」
(椋毘登は私を心配して、急遽小墾田宮に泊まることにしたの?)
「それは彼に悪いことをしてしまったかも?でもそのお陰で無事に星を見にいけました……」
稚沙はそんな彼の心遣いが、とても嬉しく思えた。
彼の場合、知り合った当初は余り良い印象を持っていなかっただけに、これは本当に意外だ。
「何事もなく無事に宮まで戻ってこれたのなら、良いのかもしれないが……まぁ、私がとやかくいえる立場ではないけどね」
厩戸皇子はそういって少し苦笑いする。歳の近い男女2人が、一緒に星を見に行ったとなれば、何か起こってもおかしくはない。
(変な男の人達に絡まれそうになった件については、厩戸皇子にとりあえず黙っておこう。彼がこのことを知ったら、さらに困らせてしまうもの)
とりあえず無事に星も見れたのだ。なので彼女もそれなりに満足している。
「でも、椋毘登にも再度お礼をいっておいた方が良さそうですね。今度会った時に話してみます」
「あぉ、そうしなさい。きっと椋毘登も喜ぶだろう。それに今日は彼も小墾田宮に来ていたよ」
厩戸皇子も、とりあえずは普段の彼に戻ったようだ。
「まぁ、そうなんですか!では庁に行ったのかも?私彼に会いに行ってきます!!」
稚沙はそういって、厩戸皇子に一度お辞儀をすると、慌ててその場を走って離れていった。
厩戸皇子は、そんな彼女のうしろ姿をとても微笑ましく眺めていた。