そしていよいよ、厩戸皇子との待ち合わせの時間となった。
稚沙は彼にいわれていた通り、門の外に出た所で、本人が来るのを今か今かと待っていた。
「うーん、少し早く来てしまったかな。皇子の為にと思って仕事頑張っていたら、思いのほか早く終わってしまったのよね」
彼女は今日の自身の仕事ぶりを思い返す。
普段からこれだけ打ち込められたら、さぞ順調に仕事をこなせるだろうと。
(私もやれば出来るってことね!今日はこのことも厩戸皇子にいってみよう。皇子もきっと褒めてくれるに違いないもの)
稚沙は嬉しそうにしながら、そのようなことを考えてみる。
それからさらに時間がたち、周りが徐々に暗くなりだしてきていた。
(遅いな。もう待ち合わせの時間帯になってるのに……)
宮の人達の気配も段々と少なくなっていく。そして辺りもすっかり静まりかえってしまった。
「皇子遅いな。もしかて今日聞いた話のように、斑鳩宮で何かあったの?」
稚沙はだんだんと不安になってきた。このまま夜になれば、一人ではよう動けなくなってしまう。
「それとも斑鳩宮に寄ったので、少し遅れてるのかな?」
そしていよいよ辺りが夜の暗闇に変わり始める頃合いになっていた。
稚沙は一人でポツンとその場に立っていた。そして酷く心細くなり、少し泣きそうになっていた。
(う、厩戸皇子……)
そんな時である。急に稚沙に誰かが声をかけてきた。
「おい、お嬢ちゃん、どうしたんだ?」
彼女は思わず、自分に声をかけてきた人物を見る。
するとそこには数名の男たちが立っていた。
余り見かけない人達だったので、遠方から小墾田宮に何か用事でやってきた人達なのだろうか。
だが稚沙が見るに、少しガラの悪そうな男達だった。
(やだ、どうしよう。この人達ちょっと怖い……)
「ちょっと、人を待ってますので」
だがその男達は一歩一歩と、彼女に近寄ってくる。
そんな彼らを目にし、彼女は思わず恐怖を感じて一歩後ろに下がる。そして自身の体を少し震わせた。
「少し離れたところで、お嬢ちゃんを見ていたが、誰も来る気配がなかった。きっと相手にすっぽかされたんだろう?」
そういって男達は、皆ゲラゲラと笑いだした。
(相手にすっぽかされた?)
稚沙の不安はいよいよ限界を越えようとしている。
「なら俺達と一緒に行かないか?このままだと夜になって、どこかの悪いヤツらに襲われるぞ」
そういった男が稚沙の前に出てきて、いきなり彼女の腕を掴んだ。
「まぁ、悪いようにしない。大人しく俺達についてくるんだ!」
その瞬間、稚沙の目から涙が流れた。
(厩戸皇子、お願い、助けてー!!)
その瞬間である。
「おい!その子から離れろ!!」
いきなり稚沙とその男達の後ろから、怒鳴り声が聞こえた。
稚沙は驚いてその人物を見ると、そこには椋毘登が立っていた。
稚沙は彼にいわれていた通り、門の外に出た所で、本人が来るのを今か今かと待っていた。
「うーん、少し早く来てしまったかな。皇子の為にと思って仕事頑張っていたら、思いのほか早く終わってしまったのよね」
彼女は今日の自身の仕事ぶりを思い返す。
普段からこれだけ打ち込められたら、さぞ順調に仕事をこなせるだろうと。
(私もやれば出来るってことね!今日はこのことも厩戸皇子にいってみよう。皇子もきっと褒めてくれるに違いないもの)
稚沙は嬉しそうにしながら、そのようなことを考えてみる。
それからさらに時間がたち、周りが徐々に暗くなりだしてきていた。
(遅いな。もう待ち合わせの時間帯になってるのに……)
宮の人達の気配も段々と少なくなっていく。そして辺りもすっかり静まりかえってしまった。
「皇子遅いな。もしかて今日聞いた話のように、斑鳩宮で何かあったの?」
稚沙はだんだんと不安になってきた。このまま夜になれば、一人ではよう動けなくなってしまう。
「それとも斑鳩宮に寄ったので、少し遅れてるのかな?」
そしていよいよ辺りが夜の暗闇に変わり始める頃合いになっていた。
稚沙は一人でポツンとその場に立っていた。そして酷く心細くなり、少し泣きそうになっていた。
(う、厩戸皇子……)
そんな時である。急に稚沙に誰かが声をかけてきた。
「おい、お嬢ちゃん、どうしたんだ?」
彼女は思わず、自分に声をかけてきた人物を見る。
するとそこには数名の男たちが立っていた。
余り見かけない人達だったので、遠方から小墾田宮に何か用事でやってきた人達なのだろうか。
だが稚沙が見るに、少しガラの悪そうな男達だった。
(やだ、どうしよう。この人達ちょっと怖い……)
「ちょっと、人を待ってますので」
だがその男達は一歩一歩と、彼女に近寄ってくる。
そんな彼らを目にし、彼女は思わず恐怖を感じて一歩後ろに下がる。そして自身の体を少し震わせた。
「少し離れたところで、お嬢ちゃんを見ていたが、誰も来る気配がなかった。きっと相手にすっぽかされたんだろう?」
そういって男達は、皆ゲラゲラと笑いだした。
(相手にすっぽかされた?)
稚沙の不安はいよいよ限界を越えようとしている。
「なら俺達と一緒に行かないか?このままだと夜になって、どこかの悪いヤツらに襲われるぞ」
そういった男が稚沙の前に出てきて、いきなり彼女の腕を掴んだ。
「まぁ、悪いようにしない。大人しく俺達についてくるんだ!」
その瞬間、稚沙の目から涙が流れた。
(厩戸皇子、お願い、助けてー!!)
その瞬間である。
「おい!その子から離れろ!!」
いきなり稚沙とその男達の後ろから、怒鳴り声が聞こえた。
稚沙は驚いてその人物を見ると、そこには椋毘登が立っていた。