「中々面白い会話だったな……ところで、お前も用は済んだんだろう?」
「あぁ、ここには書物を届けに寄っただけだから」
こうして2人は、仕方なくそのまま稚沙のいる部屋を後にすることにしたのだ。
宮内を2人で歩いていると、蝦夷が椋毘登に話しかけてくる。
「先日、小墾田宮で俺の父が襲われかけたんだってな。それで相手の連中達はお前が倒したと?」
「あぁ、そうだ。偶然この宮で見かけた木簡に、暗殺の計画が書かれていた。
俺は叔父上の護衛だったから、事前に知ることが出来て本当に良かったよ」
椋毘登は蘇我馬子の護衛ではあるが、毎回必ず馬子に同伴している訳ではない。
「父上は、お前を単なる護衛だけにするつもりはないといっていた。
いずれはそれなりに位を与えて、自分や息子の俺の補佐をさせたいらしい……」
椋毘登も、馬子から初めて護衛の話を聞いた時、同じことをいわれていた。
なのでその経験を積む上でも、時々馬子の代理等もさせてもらっていたのだ。
「俺は正直、位などにはあまり拘っていない。俺の願いは蘇我の繁栄だけだ」
(そのためにも、叔父上にはまだ現役でいてもらわないと困る。蝦夷や俺はまだまだ若いからな)
「とりあえず今回の件に関して、お前には本当に感謝している。父上を守ってくれてありがとう!」
蝦夷はニコッと笑って椋毘登にそういった。彼は椋毘登と違ってわりと人懐っこい青年である。
(蝦夷は本当に憎めないヤツだよな。俺の存在に対し、危機感なんてものがまるでない)
蘇我馬子の息子と甥の関係にある2人だ。本来なら互いの立場上、対立していてもおかしくはない。
とはいってもまだまだ若い2人である。
今は仲の良い従兄弟同士の関係の方が、お互いにしっくりとくるのだろう。
「椋毘登、お前はこれからどうするんだ?俺はもう少し宮の人間達と話をする予定だが」
「あぁ、俺もまだ頼まれている仕事が残ってるから、庁に寄るよ」
若い2人だが、蘇我馬子はどうやらこうやって2人を育てているようだ。
「よし、分かった。もし帰りが同じぐらいになりそうなら、一緒に帰らないか?お前と一緒の方が、帰りが安全だからな」
蝦夷は笑顔で椋毘登にそう話す。
それぐらい椋毘登の刀の腕前は、郡を抜いているようだ。
蝦夷とて馬子の息子なので、全く狙われない訳でもない。であれば椋毘登と一緒の方が、彼の身も守られるのだろう。
「それは別に構わない。仕事の方は夕方までには終わらせる予定だ」
椋毘登はこう見えて頭もわりと良い。そのため、彼は実務的な仕事にも適任だった。
「あぁ、分かった。だが俺の方が少し早く終わるだろうな。なので、しばらくここら辺で時間を潰して待っていることにするよ」
「分かった。それじゃあ悪いが、そのようにしてくれ」
こうして2人は一旦その場で別れて、のちほど落ち合うことにした。
「あぁ、ここには書物を届けに寄っただけだから」
こうして2人は、仕方なくそのまま稚沙のいる部屋を後にすることにしたのだ。
宮内を2人で歩いていると、蝦夷が椋毘登に話しかけてくる。
「先日、小墾田宮で俺の父が襲われかけたんだってな。それで相手の連中達はお前が倒したと?」
「あぁ、そうだ。偶然この宮で見かけた木簡に、暗殺の計画が書かれていた。
俺は叔父上の護衛だったから、事前に知ることが出来て本当に良かったよ」
椋毘登は蘇我馬子の護衛ではあるが、毎回必ず馬子に同伴している訳ではない。
「父上は、お前を単なる護衛だけにするつもりはないといっていた。
いずれはそれなりに位を与えて、自分や息子の俺の補佐をさせたいらしい……」
椋毘登も、馬子から初めて護衛の話を聞いた時、同じことをいわれていた。
なのでその経験を積む上でも、時々馬子の代理等もさせてもらっていたのだ。
「俺は正直、位などにはあまり拘っていない。俺の願いは蘇我の繁栄だけだ」
(そのためにも、叔父上にはまだ現役でいてもらわないと困る。蝦夷や俺はまだまだ若いからな)
「とりあえず今回の件に関して、お前には本当に感謝している。父上を守ってくれてありがとう!」
蝦夷はニコッと笑って椋毘登にそういった。彼は椋毘登と違ってわりと人懐っこい青年である。
(蝦夷は本当に憎めないヤツだよな。俺の存在に対し、危機感なんてものがまるでない)
蘇我馬子の息子と甥の関係にある2人だ。本来なら互いの立場上、対立していてもおかしくはない。
とはいってもまだまだ若い2人である。
今は仲の良い従兄弟同士の関係の方が、お互いにしっくりとくるのだろう。
「椋毘登、お前はこれからどうするんだ?俺はもう少し宮の人間達と話をする予定だが」
「あぁ、俺もまだ頼まれている仕事が残ってるから、庁に寄るよ」
若い2人だが、蘇我馬子はどうやらこうやって2人を育てているようだ。
「よし、分かった。もし帰りが同じぐらいになりそうなら、一緒に帰らないか?お前と一緒の方が、帰りが安全だからな」
蝦夷は笑顔で椋毘登にそう話す。
それぐらい椋毘登の刀の腕前は、郡を抜いているようだ。
蝦夷とて馬子の息子なので、全く狙われない訳でもない。であれば椋毘登と一緒の方が、彼の身も守られるのだろう。
「それは別に構わない。仕事の方は夕方までには終わらせる予定だ」
椋毘登はこう見えて頭もわりと良い。そのため、彼は実務的な仕事にも適任だった。
「あぁ、分かった。だが俺の方が少し早く終わるだろうな。なので、しばらくここら辺で時間を潰して待っていることにするよ」
「分かった。それじゃあ悪いが、そのようにしてくれ」
こうして2人は一旦その場で別れて、のちほど落ち合うことにした。