私は練習を重ねたが、強豪校に数えられるウチの部は、上級生の層が厚く、3年生が卒部するまでは見習い。


それでも夏の甲子園予選では、チアリ-ダ-としてのデビュ-を果たした。あの時の緊張と、でも全力を出し切ったあとの爽快感は、今も忘れることが出来ない。


野球部の戦いは結局、ベスト16で終わってしまったが、チアリ-ディング部としては、毎年夏休み最後の金~日の日程で行われる「チアリ-ディング日本選手権」、通称JAPAN CUPという大目標が控えている。


中・高・大・社会人、それぞれの部門に分かれて競い合う全国大会。チアリ-ディング界の甲子園、とでも言えば分かり易いかもしれない。


連日、激しく、厳しい練習が続く。普段はみんな明るくて、可愛い女子高生なのに、練習中の先輩たちの厳しい表情に、息を呑むこともしばしば。


(私もあんなふうになれるのかな・・・。)


そんなことを考えながら、私たち1年生は、先輩たちの練習のお手伝いをし、また自分達の練習に励む。


そして結果は・・・決勝進出は果たしたものの、上位入賞には及ばなかった。3年生はこれで引退、泣きじゃくる先輩たちに掛ける言葉もなく、立ち尽くしていた私たちに


「なんで、あんたたちが辛気臭い顔してるのよ。私たちは全力を尽くした、それはみんなに胸張って言えるよ。結果は悔しいけど、悔いはない。だから・・・後は頼んだからね。」


目を真っ赤にして、でも涙は絶対に見せないで、キャプテンが言った。


「はい!」


頷いた私の目から、ポロリと涙がこぼれた。