2学期が始まって、すぐに2年ぶりの学祭。残念ながら、外部公開は中止になってしまったけど、クラスのみんなと力を合わせて、やり遂げることが出来た。これで事実上、定期試験を除いて、私たちの学校行事は全て終了。


いよいよ、受験あるのみ。授業もほとんど午前中のみになって、その代わり、予備校にいる時間が格段に増える。1月中旬の共通テストまでと考えれば、もう半年もない。


これから、私の日常はほぼ、受験勉強一色になる。今まで、決してノンビリしていたつもりはないけど、これからはギアをトップに入れて行かなくてはならない。


「でも、その前に。」


美奈が言って来た。


「どうするの、岡野っちのことは?」


「えっ?」


「部活が終わるまでは、それに集中したいって紗月は言ったよね。部活は引退したよ、さぁどうするの?」


私の顔を真っすぐに見て、美奈は尋ねて来る。その視線に、一瞬たじろいだけど


「なに言ってるの?今は受験勉強まっしぐら。脇目も振らず、勉強する、ただそれだけだよ。」


私はきっぱりと答える。その私の顔を、美奈は少し眺めていたけど


「そうだよね、それが正解だよ。」


そう言って1つ頷いた。


そして、その言葉の通り、私は受験勉強に没頭した。模試の結果に一喜一憂しながら、志望校を絞り込んで行く。第一志望には、ちょっと足りない。予備校のアドバイザ-からの指摘には、頷くしかなかった。


私は親に受講講座を増やしたいと相談した。11月も半ばを過ぎようとしていた。


「今からでやりきれるのか?」


親の危惧は当然だった。でも第一志望に受かるには、どうしてもその講座を受けたかった。


「やり切ります。だから、お願いします。」


両親の目を見て、私は言った。


「わかった。紗月がやると言うのなら、応援するよ。」


決して安い金額でないことはわかっている。だけど、私の熱意に、両親は頷いてくれた。


「ありがとう。」


私は頭を下げた。


なのに、オリンピックが終わると、嘘のように減少していた感染者数が寒さを迎えて、また上昇トレンドに入っていた。第6波だ。


(なんで、こんな時に・・・。)


いらだちを覚えたが、しかしどうしようもない。私たちにとって、最後の定期考査が終わると、もう高校へは行かなくてもよくなった。予備校の受講はリモ-トに切り替えた、万が一にも感染して、全てをフイにすることなんか絶対に出来ないんだ。