そっか、岡野くんもパソコン部の副部長になったんだもんね・・・。


「本当は学祭でお披露目っていう予定だったんだけど、学校はずっと休みで入れなかったし、それに学祭も中止になっちゃったから、すっかりモチベーションが下がっちゃってさ。もたもたしてたら、どうなってるんだって、ウチの顧問にどやされちゃったから、仕方なくね。」


「そうなんだ、大変だね。」


「そんなことないよ。自分がサボってたツケが回って来ただけだし。三浦さんの大変さに比べたら、全然大したことない。」


「えっ?」


「大会前に3年生抜けちゃって、大変なんでしょ。でも三浦さんなら大丈夫。」


そう言って、暖かな笑顔を向けてくれる岡野くん。その顔を見てたら、なんか本当に大丈夫のような気がして来た。


「ありがとう。」


思わずそう言うと、彼はまたニコッと微笑む。う~ん、癒される・・・。なんかもっと話していたいけど、仕方ない。


「じゃ岡野くん、またね。」


そう言って、帰ろうとすると


「三浦さん、これからどこか行くの?」


岡野くんが聞いて来る。


「ううん、真っすぐ家に帰るよ。」


「じゃ、一緒に帰ろうよ。」


「えっ?」


「送って行くよ。もう暗いし、こう見えても一応僕も男だから、いざと言う時、多少は役に立つと思うから。」


思わぬお誘いに、私は夢中で頷いていた。そして歩き出した私たち。


「初めてだね、こうやって一緒に帰るの。」


「そうだねぇ、ずっと同じ徒歩通学組だったのにね。まぁ小中の時は、帰る方向が違ってたし、それに三浦さんはいつも誰かに囲まれてたからなぁ。僕なんかお呼びじゃなかったから。」


「そんなこと、ないよ。」


「それに下校のタイミングがこんなバッチリ合ったの、初めてじゃん。別にお互い避け合ってたわけでもないのに。」


「ホント。でも合わせようとしたこともなかったけど。」


「そっか。」


そんなことを話しながら笑い合う私たち。別に仲が悪かったわけじゃけど、特別仲が良かったわけでもないから、一緒に帰ろうなんて誘い合うことも、もっと言えば考えたこともなかった。それに女子と男子が2人きりで一緒に帰るって、やっぱりハードル高いし、周りからやいやい言われるだろうしな・・・。


ってことは、今の私たちは周りからどう見えてるんだろう・・・。