その日、私は珍しく、アラ-ム音を聞かずに目を覚ました。
身体を起こし、1つ伸びをすると、ベッドから降り立つと、私はカーテンを開く。眩しい朝の光に、思わず目を閉じて・・・そんな光景を期待したんだけど、目の前に広がっていたのは、どんよりと曇った、それどころか、しとしとと雨が落ちている冬の景色を思わせるものだった。
昨日までは春到来を思わせるような、ポカポカ陽気だったのに・・・ううん、明日からはまた晴天が続くらしい。なんかちぐはぐだった自分たちの高校生活を象徴しているような気がして、1つため息をつきながら、私は部屋を出た。
ダイニングに入ると、朝食の準備に忙しい母に驚かれた。そして朝ごはんを食べていたら、遅れて入って来た父にも驚かれた。
そんな両親の反応を尻目に、朝食を済ませた私は、身支度を整える為に、食卓を立つ。部屋に戻り、制服に袖を通すと、私は鏡の前に立った。3年間、自分でも見慣れたこの姿も今日が見納め。乱れがないかをよく確認して、よしと一言呟いて、部屋を出た。
「行って来ます。」
玄関で両親に声を掛けると、2人して見送ってくれる。
「紗月、学校でな。」
父の言葉に頷いて、私は家を出る。
「紗月の高校には、ほとんど行けなかったし、お前の学校行事に参加できるのも、これで最後だからな。」
そんなことを言っていた父は、今日の為に随分、会社に無理を言ったようだ。
雨は相変わらず。お昼くらいには上がるみたいだけど、なんか今、雨が降っているのは、私たちの地方だけらしい。記憶にはないけど、昔のビデオを見ると、幼稚園の入園式、卒園式、そして小学校の入学式の時は爽やかな快晴だった。
なのに小学校の卒業式から今日に到るまで、卒業式も入学式も全部雨。高校の入学式なんて、嵐のような天候となって、帰る頃には咲いていた桜があっという間に散ってしまっていた。
(これって絶対雨男がいるよね・・・。)
ひょっとしたら雨女かもしれない・・・とは私はみじんも思ってはいない。傘を差して、とぼとぼと学校に歩を進めながら、私は確信的に、1人の男子の顔を思い浮かべていた。
身体を起こし、1つ伸びをすると、ベッドから降り立つと、私はカーテンを開く。眩しい朝の光に、思わず目を閉じて・・・そんな光景を期待したんだけど、目の前に広がっていたのは、どんよりと曇った、それどころか、しとしとと雨が落ちている冬の景色を思わせるものだった。
昨日までは春到来を思わせるような、ポカポカ陽気だったのに・・・ううん、明日からはまた晴天が続くらしい。なんかちぐはぐだった自分たちの高校生活を象徴しているような気がして、1つため息をつきながら、私は部屋を出た。
ダイニングに入ると、朝食の準備に忙しい母に驚かれた。そして朝ごはんを食べていたら、遅れて入って来た父にも驚かれた。
そんな両親の反応を尻目に、朝食を済ませた私は、身支度を整える為に、食卓を立つ。部屋に戻り、制服に袖を通すと、私は鏡の前に立った。3年間、自分でも見慣れたこの姿も今日が見納め。乱れがないかをよく確認して、よしと一言呟いて、部屋を出た。
「行って来ます。」
玄関で両親に声を掛けると、2人して見送ってくれる。
「紗月、学校でな。」
父の言葉に頷いて、私は家を出る。
「紗月の高校には、ほとんど行けなかったし、お前の学校行事に参加できるのも、これで最後だからな。」
そんなことを言っていた父は、今日の為に随分、会社に無理を言ったようだ。
雨は相変わらず。お昼くらいには上がるみたいだけど、なんか今、雨が降っているのは、私たちの地方だけらしい。記憶にはないけど、昔のビデオを見ると、幼稚園の入園式、卒園式、そして小学校の入学式の時は爽やかな快晴だった。
なのに小学校の卒業式から今日に到るまで、卒業式も入学式も全部雨。高校の入学式なんて、嵐のような天候となって、帰る頃には咲いていた桜があっという間に散ってしまっていた。
(これって絶対雨男がいるよね・・・。)
ひょっとしたら雨女かもしれない・・・とは私はみじんも思ってはいない。傘を差して、とぼとぼと学校に歩を進めながら、私は確信的に、1人の男子の顔を思い浮かべていた。