私は目の前にある髪を梳かす。





固すぎず、柔らかすぎない美しいミルクティー色の髪を櫛で掬っては撫でを繰り返していく。



櫛で一通り梳かし終わると次は髪を手に乗せ3つに分ける。



手からこぼれないよう櫛で少し纏めつつしっかりと髪を編み上げていく。




髪を揺らすごとにシトラス系の爽やかなシャンプーの匂いが鼻腔を掠めた。



「やっぱりあなたの腕が一番だわ」



鏡台の前で真っ直ぐ自分を見つめていた彼女が突然振り返る。