私は彼との思い出を消すように鏡につけた口紅を指で擦り取る。 赤色が指につき、鏡が薄い赤色の線を描く。 「似合わなすぎでしょ、…… 本当贈り物のセンスない」 口紅を消した瞬間もとの自分の顔に戻る。 戻ったと同時に透明な液体が頬を伝った。 それでも…… どれだけ趣味が合わなくても どれだけセンスがなくても どれだけ上辺を取り繕ってたとしても 君のことが好きだった事実は変わらない。