「鬼川く―― 」



もう一度呼ぼうとした次の瞬間、



風が巻き起こる。



“ドゴリ”とえげつない音が近くで聞こえる。



何が起こったのか一瞬分からなかった。



が、すぐに壁に拳を当てる鬼川君の姿を脳と視覚で認識する。




「きっ、鬼川君!?どうしたの!?」



「…… いや、今日喧嘩売ってきた奴の言葉思い出してな」



修羅のような顔で壁もとい多分記憶の中の人を睨んでいる彼。



「あいつ俺のことババ臭ぇ匂いとか言ってたな…… 思い出したら腹立ってきた。もう1発入れてくるか?」