私がそう言うと彼が甚だ疑問、と表情に書き始める。
「何でだ?」
彼は表情に書いていることを口に出す。
「…… んー、なんていうか鬼川君と居ると落ち着く?んだよね」
「落ち着く」
「そう、落ち着く」
オウムのように同じ言葉を繰り返し聞く彼に私はまた言った言葉を同様に返す。
「なんだろね?なんか…… そうだな、鬼川君から甘い白檀?みたいな香りがするのも落ち着く要因なのかな」
私は半歩程前に足を出して彼に近付く。
微かに甘く涼やかな香りが鼻をつついた。
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