「だから!」
しびれを切らした彼女から大きな声が上がる。
「この小説。…… 君と私を書いた小説だと言ったらその、き、君は笑うか?」
「…… んぇ?」
思わず変なところから変な声が出た。
「―― えっ、と……」
だってこれは、恋愛物で女性主人公が部員の1人に想いを寄せる描写が……
俺は混乱尽くしの頭で答えをなんと導き出す。
「…… つまり、そういうこと?デスカ?」
彼女がコクりと頷く。
…… あー、これは部長が遠回しすぎなのか、俺が鈍すぎなのか。
まぁ、どっちもか。
俺はついそんな遠回しな彼女を抱き締める。
「なっ!えっ、きっ君!?」