私は慌てて髪を整えた。



「見苦しくない。むしろ可愛い。けど、ほら真北が可愛いのは俺だけが知ってればいいから」



「―― !!」



まだデートも始まってないのにキュン死させるつもりですか!




私は高鳴り続ける胸を抑え赤い顔を手でなんとか隠し、彼の言葉に耳を傾ける。



「と、時間もないしそろそろ行こうか」



「っ、はい」




彼が腕時計を確認し私の手を握る。



それだけで胸が悲鳴を上げた。



と同時にある思いが脳を過る。



…… もう、これだけ満たされてるのにやっぱりキスをして欲しいなんて私本当にわがままですね。



一時でもそんな欲が自分を支配したことを私は密かに反省した。