「あっ、あの」



「はっ、はい?」



彼女に話し掛けるとより心臓の音が五月蝿くなる。




「その ……」




落ち着けー、落ち着けー!



俺は心を静める。




「に、似合ってますね」




「へっ?」




彼女がキョトンとした顔をする。




主語を言えー、主語を!




「ふっ、服装が!」




力み過ぎて少し声が裏返る。



…… うわー、恥ずい。



「そっ、それだけです。すいません」



俺が恥ずかしさのあまりその場を立ち去ろうとすると




「―― あっ、ありがとうございます!」



彼女のほうからお礼のような言葉が聞こえてきた。



一瞬空耳を疑ったが、彼女の星を散らしたような美しい笑顔を見て空耳じゃないことを確信する。