それから彼女は髪に結われた紫の混じった青色のリボンを手に取り
小さく音を立ててそのリボンに唇を当てる。
唇に塗っていた口紅がリボンにうっすらと付く。
それを擦り落とすこともせず、彼女はリボンを額に当て、思い、想う。
あなたは知らないでしょうね。
私がこの色をずっと着ける理由を。
あなたの独占欲に気付かないとでも思った？
―― あぁ、それでも許して欲しい。
あなたの気持ちに気付きながらこれからもこの色を着けることを。
あなたと結ばれる未来を想像することを。
あなたの色に染められることを。
手をそっと離すとリボンが風にさらわれていく。
彼女はそれをただ見ていた。
悲しそうに、哀しそうに、少しだけ嬉しそうに。
