龍二……。それは私も同じなんだよ。アナタのためなら、姫という立場なんて簡単に捨ててみせるもの。

 周囲から温かい視線の中、私と龍二は時間を忘れ抱き合っていた。

「龍二っ、ジェットコースターに早く乗ろうよっ。私、もう待ちくたびれちゃたんだからねっ」

 私の問いかけに、龍二は笑顔で応えてくれた。
 優しく温かい笑顔に、私はつい見とれてしまった。
 龍二が手を引っ張りながら、ジェットコースター乗り場へ向かうけど、私の瞳には彼しか映っていなかった。

「心の準備はいいかい、ハニー。このジェットコースターはスリル満点だからね」
「だ、大丈夫よっ、それぐらい。でも、手だけは絶対に離さないでよねっ」
「何があっても離さないさ」

 普段なら何時間も待つ人気のジェットコースター。
 今日は二人だけのために動いている。
 係員に案内され、私たちは先頭の席へ座ったのだ。

「うぅ、先頭なのね。少し怖いけど、龍二と一緒なら平気、だから」
「ハニーは可愛いね。素直なハニーもいいけど、ツンデレなところも最高だよ」
「な、何をいきなり言ってるのよっ。しかもこんなところで……。って、きゃーーーーーー」

 二人だけを乗せたジェットコースターが走り出す。
 景色を見る余裕なんて、私にはまったくなかった。
 でも、恐怖なんて微塵も感じない。だって、私の手は龍二と繋がっているのだから……。

 怖い……けど、龍二がそばにいるから平気だよ。何があっても、この手は離さないからねっ。

 心に誓いを立てるも、ジェットコースターは私を無視し走り続けていた。