「龍二、私ね、ジェットコースターに乗ってみたいっ。日本一長いって有名なやつね」
「おーけ、おーけ。ハニーのためなら、喜んでご一緒いたしましょう」
「それでね、私、少し、ほんの少しだけ、苦手だから、手を握ってくれると嬉しいんだけど。べ、別に握ってくれなくても平気なのよっ。でも、でもね、やっぱり、龍二の手があると、安心できるから」

 なんでツンデレなのよっ。素直に『怖いから手を握って欲しい』って、言えないのよっ。もぅ、こんなんじゃ、龍二に嫌われちゃうじゃないの。

 私は自分の心と戦っていた。素直になりたいけど、どうしても、恥ずかしさが勝ってしまう。でも、龍二はこれくらいじゃ、私を嫌いにはならないと知っている。
 だって、彼は……私の運命の人なんだから。

「お安い御用さ、ハニー。僕の手でよければ、いつでも貸してあげるさ」
「う、うん……。そういう龍二が、私は好き、だよ」

 ちがーーーう。違わないけど、ここは素直になるところじゃなーい。もぅ、恥ずかしすぎて、龍二を見れなくなっちゃうじゃないのっ。

「嬉しいよ、ハニー。僕もハニーしか、この瞳には映ってないのさ」
「──!? り、龍二、こんなところで、それは……」

 ──ドクン、ドクン……。
 いきなりのハグだなんて……心の準備ができてないよ。うぅ、嬉しいけど恥ずかしくて、で、でも、離れちゃダメだからねっ。
 うん、今度こそ、今度こそ素直に……。

「ハニー、震えてるけど、離れた方がいいのかい?」
「違うの、これはそういう震えじゃないの。私は……私はね、龍二と一緒にいられるだけで幸せなんです。だからこの震えは、嬉しさの現れなのよっ」
「僕も同じ気持ちだよ、ハニー。僕はね、ハニーといられるなら、他に何もいらない、すべてを捨てられるんだよ」