まったく、お風呂ではえらい目にあいましたわ。佳奈さんは悪気があるのかないのか、よく分かりませんでしたし。でも、龍二が呼ばれなくて、本当によかったわよ。
私は部屋で髪を乾かしていた。お風呂場での出来事は、忘れようと心に決めながら……。
そういえば、龍二の両親にお礼を言ってませんでしたね。私としたことが一生の不覚です。で、でも、お礼だけですからねっ、別に結婚の挨拶をするわけじゃないんだから。
龍二との妄想しながら、私は佳奈さんに両親の部屋へ案内してもらう。彼女はその部屋の前まで案内すると、私に一礼しそのまま去っていった。その後ろ姿からは、お風呂場での出来事が想像つかなかった。
「ここが龍二の両親が住む部屋なのね。深呼吸して落ち着いて、失敗しないように……。って、お礼言うだけじゃないのっ」
緊張でドアを叩こうとする手が震える。
固まること数分、決心した私はドアをノックしようとした。
しかし、中から話し声が聞こえ、悪いと思いつつも、つい盗み聞きをしてしまった。
「ジュニアよ、お前の言っていた子はあの子なのか?」
「そうだよ、父さん。僕がずっと思い続けていた、この世で一番大切な女性なんだ。そう、ずっと、ね」
龍二の声……? それにお父さんって。二人でなんの話をしてるのかしら。私と龍二は高校で初めて出会ったはずよ。それなのに……。
龍二の言う『ずっと』という言葉が気になってしまう。私はドアに耳を押し付けて、二人の話に耳を傾けたのだ。
「そうだな、ジュニアの気持ちはずっと変わらなかったな。あの日、二年前に出会ったあの少女をずっと想っていたもんなぁ」
「はい、初めて見たとき全身に電流が走って、これが一目惚れなんだって。でも、そのあと彼女に会うことはできませんでした」
二年前……私が記憶を失う前ってことなの!? 私と龍二は前に出会ってたってことよね……。
私は部屋で髪を乾かしていた。お風呂場での出来事は、忘れようと心に決めながら……。
そういえば、龍二の両親にお礼を言ってませんでしたね。私としたことが一生の不覚です。で、でも、お礼だけですからねっ、別に結婚の挨拶をするわけじゃないんだから。
龍二との妄想しながら、私は佳奈さんに両親の部屋へ案内してもらう。彼女はその部屋の前まで案内すると、私に一礼しそのまま去っていった。その後ろ姿からは、お風呂場での出来事が想像つかなかった。
「ここが龍二の両親が住む部屋なのね。深呼吸して落ち着いて、失敗しないように……。って、お礼言うだけじゃないのっ」
緊張でドアを叩こうとする手が震える。
固まること数分、決心した私はドアをノックしようとした。
しかし、中から話し声が聞こえ、悪いと思いつつも、つい盗み聞きをしてしまった。
「ジュニアよ、お前の言っていた子はあの子なのか?」
「そうだよ、父さん。僕がずっと思い続けていた、この世で一番大切な女性なんだ。そう、ずっと、ね」
龍二の声……? それにお父さんって。二人でなんの話をしてるのかしら。私と龍二は高校で初めて出会ったはずよ。それなのに……。
龍二の言う『ずっと』という言葉が気になってしまう。私はドアに耳を押し付けて、二人の話に耳を傾けたのだ。
「そうだな、ジュニアの気持ちはずっと変わらなかったな。あの日、二年前に出会ったあの少女をずっと想っていたもんなぁ」
「はい、初めて見たとき全身に電流が走って、これが一目惚れなんだって。でも、そのあと彼女に会うことはできませんでした」
二年前……私が記憶を失う前ってことなの!? 私と龍二は前に出会ってたってことよね……。