「ハニー、起きて、僕の家に着いたよ」
「う、うぅん……。龍二、着いたのね、って……ここが龍二の家なのですか!?」

 予想すらしないその光景に、寝起きの私は目が一気に覚めてしまう。

 広大な庭に噴水が設置され、目の前には家というより、屋敷という巨大な建物がそびえていた。

「驚くほどじゃないさ、ハニー。それと、遠慮なんていらないからね」
「あ、あの、お城みたいよ。ううん、貴族の屋敷みたいですわ」
「あははは、僕は貴族ではないけど、ハニーはお姫様のように扱うからねっ」

 お、お姫様ですって。確かに私は絶世の美女よ。自分で言うのもおかしいですけど。でも、龍二は私のことをそう思っているのかしら。

「本当にそう思ってるのなら、お姫様を抱えるのがおもてなしではないのかしら?」

 な、何を口走ってるのよ。待って、違うわよ。これは私が思ってたことだから、龍二に伝わるわけが……。

「それは一理あるね。では、ハニー、ちょっと失礼するよっ」
「──!?」

 えっ、声に出てたの、嘘……。しかも待って、こんな格好、恥ずかしいのにっ。だ、ダメやめないで、でも、龍二の顔が近すぎて、まともに見られない、よ。

 私の思考は完全に暴走してしまう。なにせ、龍二が恥じらうことなく、私をお姫様抱っこしたのだから。

 頭が真っ白になったまま、私は屋敷の中へと連れていかれる。顔は真っ赤に染まってしまい、鼓動が激しいリズム刻んでいた。

 もぅ、なんで龍二は恥ずかしくないのよ。ばかっ。

 嬉しさと恥ずかしさがひしめき合い、私は龍二の胸に顔を預けたのだ。