翌日、私は、仕事をしながらも時計が気になって仕方ない。

もうすぐ、直くんがいなくなっちゃう……

そんな思いがずっと胸の中を渦巻いてて、仕事にも集中できない。

そして、間もなく16時という時、我慢出来なくなった私は、その場で立ち上がった。

「すみません。体調がすぐれないので、帰らせてください」

私は、とても病人とは思えないような早口で係長に捲し立てたる。

「えっ、加藤さん?」

係長が驚いたように呼び止めるけれど、私は、

「すみません」

とペコリと頭を下げて、更衣室へと駆け込んだ。

慌てて制服から着替えて、バッグを手に会社を出ると、私はハイヒールにもかかわらず、全力で走り出した。

今なら、間に合う。

直くんに会いたい。

やっぱり、別れるなんてできない。

カッカッカッカッ

ヒールが折れるんじゃないかってくらいの勢いで走っていく。
そうしてターミナルに着くと、そこにはいくつもの停留所があり、何台ものバスが停まっている。

直くんが乗ってるのは……

私は、バスの行き先を確認しながら、走って行く。

その時……

見つけた!

私は、目的のバスを見つけ、ほっとして足を緩めた瞬間、バスはゆっくりと走り出した。

うそっ!?

私は慌てて再び走り出すけれど、バスに追いつけるはずもなく、息を切らしながら、呆然と見送るしかなかった。

直くん……