それから作業に集中すること数十分。
「…ん!?」
不意に、私の鼻がご飯のいい匂いを察知した。
と同時に、両手にお皿をのせた須藤が現れる。
「そこ片せ。食おーぜー」
「そ、それは…チャーハン!!」
「だから片付けろって」
須藤が無理やり、わずかな隙間にチャーハンがのったお皿を置いた。
ほかほか湯気をたてているまごうことなき、チャーハン。
「え…すご…めちゃくちゃ美味しそうなんだけど!え、でもうちの枯渇したキッチンでいったいどうやって!?またイリュージョン!?」
「冷蔵庫の奥底にあった賞味期限ギリッギリの卵とすっげー萎れたレタスと、謎にビミョーに残った肉でなんとか。米だけ俺んちから持ってきた」
「な、なんと…!!」
ゴクリと喉が鳴る。
急激にお腹へってきた…っ!!
「須藤、ごめん。私と同レベとかいって…冷蔵庫の余った食材で料理するとか、あんたプロだよ!!」
「なんのだよ。それよりスプーンとって」
「らじゃー!!」
私は全力でキッチンにスプーンを取りに走る。