「…へえ」
そっかあ、なるほど。意外な返答。
「知らなかった。
須藤って私のこと“隣人のヨシミ”があるくらいには思ってくれてるんだ」
顔を合わせれば100%突っかかってくるし、普通に私のこと嫌いなんだと思ってた。
「ありがとよっ隣人」
バシッと肩を叩いてやると「いってぇなゴリラかよ」と大袈裟に顔をしかめられた。
「べ、別に。いちおー隣人の女が、失恋して黒魔術にでもハマりだしたらこえーし、なんせ隣の部屋だから呪いの影響とか負のオーラの影響とか受けそうだろ」
「黒魔術って」
「意外とそーゆうの気にするタイプなんでな」
須藤が紅茶をあおる。もう悶えるほど熱くはないらしい。
「じゃあ私も須藤に好きな子できたら、協力してあげるよ」
私の言葉に、須藤が紅茶をあおった姿勢のまま、一瞬動きを止めた。