「……え」
今の、私の状況。
右手が須藤の手にしっかり握られていて、
そんな須藤に引っ張られるように、人混みの中を歩いている。
右手が…須藤に…
「えぇ!?」
「っんだよウルセーな!」
振り向いた須藤が歩みを止めキレた。
「だっ、なんっで手繋いでんの!?」
いくら人混みとはいえ迷子防止で手繋ぐ年齢ではないのでは!?
「…なんでって」
須藤は気まずそうに数秒、視線を彷徨わせて
私と目が合うと、チッと治安の悪い舌打ちをした。
「デートだから。決まってんだろ?」
「うわっ」
そしてまた繋いだ私の右手を引っ張って歩き出す。
「デートって、別にここまで本格的にしなくてもよくない?」
「うるさい。もうお前黙れ花岡の鈍感クソ野郎」
「ちょっと!今クソッて言った!?」
「うるっせえな黙って歩けねーのかよお前は!?
…ほんっと、俺ばっかでムカつくわ」