「俺処女とか絶対無理だわ~」




そんな言葉が聞こえたのは、



同じ部活の同期である紗良と、行きつけのラーメン屋『ラーメン大馬鹿野郎』のカウンター席でラーメンをすすっていた時だった。




聞き覚えのある声に振り向くと、

予想通りそこには橘くんの姿がっ!




奥のテーブル席にうちの大学っぽい集団がいるな~とは思ってたけど、



まさかこんな所で橘くんと会えるなんて…っ!





喜んだのも束の間、すぐにさっきの橘くんの言葉を思い出した。





処女とか絶対無理って、言ってた…?






「え~いいじゃないすかあ、何色にも染まってない女ってよくないすか?」






後輩っぽい男子が橘くんのコップに水を注ぎながら言う。





「おっまえ昭和かよ?
やだよ面倒くせーだけじゃん、やっぱ慣れてる女のが楽だし、いろいろ楽しめるし」



「楽しめるって何スか、先輩エロ~」





ギャハハという笑い声がどこか遠くに聞こえた。





“面倒くさい”


“いろいろ楽しめるし”