「…ね、ねえ須藤、やっぱり今日はやめ…」




思わず息をのんだのは



須藤が今までに見たことない顔してたから。





「…言っとくけど、もう引き返せねーから」





須藤が少し掠れた声でそう言って、



私の髪を一束すくって、耳にかけた。






くすぐったくて、思わずビクッと体が震える。






「…なにおまえ」





ふ、と須藤が少しだけ口角をあげた。





「敏感なの?」



「う、うるさ、ん、」






言葉を飲み込むような深いキス。





唇を閉じる前に強引に入り込んできた舌が





私の口内を激しく動き回る。






吸われて、舐められて、奥の奥まで。





「んっ…、ぁ…」





一言の文句を言う余裕も時間も与えてくれない。





食べられそう…






「っ、はぁっ」






ようやく離れた唇に




息絶え絶えの私とは反対に、少しも息を乱れさせてない須藤が




だけどいつもよりも確実に、熱を持った瞳で私を見下ろしていた。






「…花岡」



「な、に…」



「苦しかった?」



「っばかじゃないの、ぜ、ぜんぜん余裕だし」







昔から強がってみせてしまうのは私の悪い癖だって、わかってたのに。






「そっか、じゃあまだまだいけるよな」




「ちょっ、んっ…」






再び強く重なった唇に




クラリと眩暈がした。








なぜこんなことになっているかというと、事の発端は





昨日の夜にまで遡る。