「…別に、気にすんなよ。

てか普通に最低だろ、そんなこと言う男。



周平は性格は悪くねーけど女には軽いんだよ。

お前の手におえる相手じゃねえ、やめとけって」






グビッと缶ビールをあおりながら須藤が言う。







お前が言うな、と思った。







須藤は橘くんと同じサッカー部で、一学年数十人も部員がいる中で2年でレギュラーなのは須藤と橘くんだけだ。







そんな2人はモテモテで、それは学科が違う私の耳にも届いてくるほど。







橘くんもだけど、きっと顔だけはそこそこ普通に実はかなりいい須藤も女を食いまくってるに違いない。







なのに…







「同じ部活なのに、どうしてこれほど輝きが違うのか…」





「あぁ?」





「はじめての恋だったんだもん、

そんな簡単に諦められないよ…」







あれ以来、まともに話したこともない。雲の上の遠い存在。







だけど、もしかしたら…って、なぜか淡い希望を抱いていたのも事実。







「女に軽くても、でも絶対いい人だし…」





「…大袈裟だな。

たかが落とし物拾ってくれただけだろ」





「笑顔が輝いてた!!」





「はじめて男に優しくされて舞い上がったんだろ?

チョロすぎ、これだから処女は」






くっ…うざい、てかそもそもソレ、私のビールだしっ!







「返せ私のビール!!」





「おわっ、あぶねえって離れろ!」





「嫌だ!返せ!!」





「ケチかよいいだろ一本くらい!」






「ダメ!せめて金払…あぁっ!!!」










「…うわ、なんだよ急にうるせーな!」









須藤が耳を抑えてドン引きした顔で私を見ている。









閃いてしまった。





突然に、まるで神の啓示のように。








「そうだ…処女が嫌なら、処女じゃなくなればいいんじゃん!!」