「こ、ここここが、かかかの有名な……!!」



「ラブホだよ」




「男女が夜な夜なまぐわう為だけに作られた世界一不健全な建築物という、あの……!!」



「偏見がすげーな」





「無駄に可愛い外観のせいで“お母さんあの建物なーに?”という無邪気な問に親なら誰しも困った経験があるという、あの……!!」




「あーもう、うっせーな!!」







ソファに乱暴にカバンを置いた須藤が、


呆れた顔で振り向いた。





「いつまで突っ立ってんだよ。
いい加減入れっつーの」



「は、入るよ!?もちろん入るよ!?
た、ただ、まずはきちんと礼を…」



「ここ道場じゃねーから」







スタスタ歩いてきた須藤が乱暴に私の腕を引っ張って、




背後でバタン、と閉まったドアの音が、死刑宣告のように聞こえた。