俺は家に着くと、電話していたお兄ちゃんは既に家に帰っていた。

「よっ!紳!元気してたか?」

「お兄ちゃん…。別に俺は…元気だよ」

「そうか!それもそうだよな!紳も高校生だもんな〜!」

お兄ちゃんは冷徹な俺の表情なんかに気にせずに意気揚々(いきようよう)と話してくる。

「…お兄ちゃん、ウザイ……」

「はっ?」

「お兄ちゃんウザイって言ってんの!」

お兄ちゃんは俺の言葉に怒り口調になった。

「帰ってきたお兄ちゃんに最初に言う言葉はそれかよ!」

お兄ちゃんは怒鳴り、俺の制服の胸ぐらを掴んで来た。俺よりも大きいお兄ちゃんに対して、俺の身体は簡単に上に持ち上げられた。

「は、はな…せっ、離せっ!」

俺はお兄ちゃんから暴れるように必死にお兄ちゃんの腕を突き放す。お兄ちゃんは、勢いよく俺を蹴った。お兄ちゃんが蹴ったところはちょうど俺のお腹で俺は相当痛くなって、(もだ)えた。

「ちょっと!凛斗!大事な弟の紳を蹴るじゃないの!」

とお母さんが買い物から帰ってきた姿で駆け込んで来た。

「こいつが俺のことウザイって言ったから。俺が戻って来たって言うのに……。紳は生意気になったんだな」

お兄ちゃんはそう呟いて、気休めに外に出て行った。